ただいま留守にしております。

おもに旅のことなど

子どもでも、こわいものはこわい

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チーノチーノ

さっきから、私のあとをずーっとついてくる男の子。
控えめに言っても、気味が悪い。

 

 

チュニスの空港に着いたのは昼過ぎ。
クチコミどおり、到着階から出発階にエスカレータで上がり、客を降ろしたての黄色いタクシーを拾う。2年前に発行されたガイドブックには、改造メーターの車に注意、と書いてあったけれど、どうやってそれを判断するかは書いていない。メーター使うよね?と聞いてみてもドライバーからはフランス語で返される。まあもう乗ってしまったし、なるようになるか…と降ろしてもらったところはシディ・ブ・サイドの少し外れ。日本の家を出てから既に24時間以上。ようやく荷物をおろし、宿のマダムが出してくれたチュニジアの甘いお菓子で一息。正直お腹もすいていないし、このまま寝てしまっても良いかな…と思ったけれど、やはりまだ明るい外を見ると、いてもたってもいられず外に出た。

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夕日が町をオレンジに染める中、白い建物が映えるシディ・ブ・サイド。折しも土曜日だったこの日は、人々が楽しげにおしゃべりし、食べ歩きながら長い影を坂道に映し出していた。アジア人は、みたところひとりもいない。私だけ。きゅっと身を引き締めつつも、家族連れやカップルも多く、それほど危険なかんじはしないかな…と歩いていると、どこからか「チーノ」という声が。見ると目の前に小学4、5年生くらいの男の子。「I’m not チーノ」と目を見て言ったのが悪かったのか…気づいたときには同じ早さで行きつ戻りつ、ずーっとついてくる。何度か、ついて来ないで!と言ったけれど、そもそも英語が通じていない。撒こうと思って横道に入っても、その先でまた彼に出くわす。小学4、5年生くらい、とは言っても肉づきが良いので、それなりに大きいし言葉は通じないし、ここは彼のフィールドだし、なにしろそうこうしているうちに日が暮れて、既に街灯のないところは真っ暗。携帯を出してマップをチェックしたいけれど、できない。道もまだよくわからない。人は沢山歩いているけれど、こわい。

 

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と、目の前に素敵な門構えの建物が目に入った。確かここは『高級レストラン』とガイドブックに書いてあった店。普段なら絶対に入れない店だけれど、今はほかに選択肢がない。とりあえず門をくぐる。彼はついてこない。