ただいま留守にしております。

おもに旅のことなど

遠い世界は私のすぐそばに

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日曜日の夕方、成田に着いた
月曜日の夜、チュニジアで自爆があったと知った。
ほんの数日前、歩いていた通りだった。

 

 

 

つるつるになった石畳を、滑らないよう気を使いながら歩く。ときおりガラガラと大きな荷物を積んだ手押し車が通る。両脇には色とりどりのスパイスや布、見るからに甘いお菓子やサンドイッチ、ジーンズやサンダルが並ぶ。昼間でも薄暗い通りを抜けると、ぱっと視界が開け、明るい広場に出た。左手にはまるでヨーロッパにいるかと錯覚するような瀟洒な建物。目の前はパリ門。日の光をきらきらと反射させた美しい噴水の前では、何人ものひとが記念撮影している。門の左右には、ごちゃごちゃとした庶民的な埃っぽい道が続くけれど、門からまっすぐ伸びる通りは、両脇に木が植えられオープンカフェや教会、ガラス張りのビルが並び、路面電車が走る。今まで通ってきたスークと全く違う景色だった。数10メートルおきに銃を携帯した警官がいて、数年前に美術館で起こったテロを連想はさせても、ここが危険だなんて全く思わなかった。

そこで、自爆があった。

自爆した30代の女性は、大学を出たのに3年間も無職で
社会に対する不満を警察車両の側で文字通り、爆発させたらしい。

 

チュニジアでは、みんなITを学ぶんだ。お金になるからね。
ダールのスタッフが言っていたのを思い出した。

 

社会への不満。

それを、こういうかたちに昇華させてしまうのは、悲しみしかない。

だけど今や私は、自分がどれだけ恵まれているのか、わかっている。

旅することで、こういうことが起きることで、それを気にかけることで

遠い世界は、私のすぐそばにあるんだ。私のすぐそばで起こっているんだ。

それに、気づく。

 

 

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